みなさんこんにちは!
今日の撮影の調子はどうですか?
今回は単純X線撮影で撮影方向の表記についてのお話です。
胸部立位撮影でよく使用する撮影方向は、正面のPAと側面のRLです。
P−Aは、X線を後ろから(Posterior:ポステリオール)から前(Anterior:アンテリオール)に向かって撮影する像ということで、英語ではPA viewといっています。
そして、側面のR-Lは右から(Right)左(Left)に向かって撮影するということで、RL viewといいます。
この正面と側面の方向の表記は、すべての医師と技師の共通認識で撮影されていますが、斜位に関しての方向の定義は、実は施設によって教科書と違った独自の使用方法が存在しています。
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教科書通りの施設
一般的な教科書で使用されている表現を以下に記します。
正面 Posterior-Anterior view(PA) = Anterior-Posterior view(AP)
側面 Left lateral position(RL:Right-Left view) = Right lateral position (LR:Left-Right view)
斜位 Left Posterior Oblique position(LPO)第三斜位 = Right Anterior Oblique position(RAO)第一斜位
斜位 Right Posterior Oblique position(RPO)第四斜位 = Left Anterior Oblique position(LAO)第二斜位
正面のPAとAP、側面のRLとLRは、Viewがつくのでprojection方向(X線の方向)を表し、斜位は被験者の受光面に接するポジションを表しています。
文章だとわかり難いので、図で示します。
図中の矢印の方向が、X線の投影方向を示しています。
単純X線撮影だけでなく、X線透視、血管撮影のCアームの方向はすべてこの考え方です。
血管撮影中に先生から『RAO30度!!』とかいわれますよねw
その時のCアームは下図のようになっていると思います。
すべてX線の投影方向(projection)から考える施設
次は一般的な表記とちょっと違った方式を採用している施設のことをお話します。
まずは、どのように違っているのか図で示します。
図中の黄色帯と水色帯の表記が一般的な表記と違っていることがわかるでしょうか?
黄色帯のRAOとLPO、水色帯のLAOとRPOが反対になっていることに気づきましたか?
一般的な表記との比較図を示します。
この独自表記は、主に単純X線撮影で使われています。
どういう経緯でこの独自表記を使用しているのか調べてみましたが、わかりませんでした。
昔の放射線技術の教科書にこのような記載があったのでしょうか。
ご存知の方がいらっしゃいましたら是非ご教授ください。
とにかく、この方式を採用している施設が少なからず存在します。
私の推測ですが、APが前から後ろにX線が照射(投影)されていると解釈しますので、RAOも同様の解釈からX線が右前から照射(投影)されるという考え方でしょうか。本来RAOであれば、受光面側に被験者の右前側が接することになりますが、この場合は、被験者の右前側がX線管球に向くので、受光面側に被験者の左後側が接することになります。
下図のようにRAOもLPOもどちらの方式でも出力されるX線画像は同じになりますが(拡大率など厳密なことをいえば違いますが…)、独自表記の施設では、被験者の受光面に対するポジションは全く逆になるので、あなたの施設がどっちの表記なのか確認してから斜位を撮影しないと画像が反転して出力される可能性があるので注意が必要です。
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